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不思議なマカロン‥十色の甘いお話

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夢見るお菓子 そのニ [マカロン]

 

不思議なマカロン‥十色の甘いお話



「目を大きくして、目を大きくして。目をひらいて。

よーく見てごらん、森の中を。

きらきらしているでしょう。

木漏れ日がいくつもの色に輝いているのが、

見えてきたでしょう。

桃色に黄色に紫に・・・。

ほーら、ほら。

十色にね。

風に誘われ、たくさんの色はね、

消えたり現れたり、

ダンスを踊りはじめているの」

ルリ姫が子猫たちに話してくれました。

子猫たちが森でであった、

この不思議な出来事。

もうたいへん。

急いでうちに

帰り、この驚きを

ママに話さない

森の中で子猫たちは不思議

な光の体験をするのです。

わけにはいきません。

うちに帰って、

子猫たちの

いっぱいの

不思議な話、

じーっと

きいていたママ。

「では、・・・」と

話しはじめると、

ひとつひとつ、光の色の話に

魔法をかけはじめ、

お菓子をつくりはじめたのです。

ひとつひとつのラベルに

子猫たちの絵が

描かれています。

チョコ色に、イエロー、グリーン、

ディープグリーン、ピンク、

オレンジ、ブルーグリーン、

パープル、レット、最後はミルク色。

子猫たちが森の中で見た木漏れ日。

不思議な光の色の話を、

十色のお菓子に変えてしまいました。

 

子猫たちの肉球の上に、

ちょこんとのる小さくまるい

可愛い十色のお菓子。

「あ、木漏れ日みたい」

子猫たちは思い出し、

目をまるくして喜びました。

「ママ、すごいね」

森の中でであった

木漏れ日の色と

そっくりだったからです。

どきどきしながら、

きれいな十色のお菓子を

食べてみることにしました。

甘いけど、なぜか、

ひとつひとつ違うのです。

うちに帰り、ママに

マカロンをつくって

もらいます。

ふぁーっと違った香りや美味しさが、

口のなかに広がっていくのです。

それはそのはず。

いろいろな果物や木の実がこっそり、

かくれんぼしていたからです。

 

「あら、どうしたの?」

ママはすました顔。

子猫たちを、またまた、

おどろかそうとしたのです。

まーるく、かわいく。さまざまな光の色に輝く木洩れ日をマカロンに見立てて。




落葉広葉樹林とマカロン。

仙台市愛子盆地を包みこむ美しい森。
あふれる木漏れ日にふれた感動から、
このお話が生まれました。

落葉広葉樹が生い茂る北方系の森が
愛子盆地を包むように広がっています。
常緑樹と違い、
さまざまな色を放し風に揺れる
木漏れ日の幻想世界に魅せられ、
ひとつひとつのマカロンと
響き合うように描きました。