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第三話 ドジョウさんのお池・・モコのお庭

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第三話

 

「じゃましないでくーださい」

池の中の小さなおともだちより。

 

 

 

ドジョウさんのお池・・・モコのお庭

 

ドジョウさんのお池をつくり

はじめたころから

お話がはじまります。

ぽかぽか、日ざしが暖かくなり、みどりは濃くなり、

わくわくする春うららかな日。

バケツくらいの深さでお風呂みたいな

ドジョウさんの池を

つくりはじめました。

まずは田んぼの土を

ひきつめました。

大きいの、小さいの、かくれんぼできる、

でこぼこの石をおき、

水草もいろいろいれました。

これでおわり。

かんたんだけど、

ドジョウさんにすんでもらう池が

できあがりました。

 

「おはよう」「おはよう」

「こんにちは」「こんにちは」

「こんばんは」「こんばんは」




水底でくらしはじめた

ドジョウさんとは

とてもなかよしで、

くねくね、すーっとまっすぐ

水面まで泳いだかと思うと、

ピッシャンと水面からはね、

あいさつしてくれます。

 

でもね、

水草のみどりがぐんぐん

大きくなりはじめたころ、

「お池には、

どんどんおともだちがふえるけど、

そっとしてあげてね」

ドジョウさんから

不思議な話をきかされ、

よくわかんないけど、

どんなおともだちがくるのか、

にぎやかになるのか、

モコはわくわくしてきました。


あるときです。

「くわぁ、くわぁ、くわぁー」

「くわぁ、くわぁ、くわぁー」

浮草にかえるさんが3匹、

すまし顔ですわっています。

「こわくないよ、こわくないよ」

そろりそろり近づき、にゅーっとのびるモコの手。

表情をかえないかえるさんは

すばやく池の中に飛びこみ、

水底でじーっとしたまま、

うごきません。

 

あるときは、くるくるくる。

くるくるくる。

にくきゅうと同じくらいの

みずすましさんが

気持ちよさそうに水面にたくさんのまるを

えがきながら泳いでいます。

今度はだいじょうぶ。

おどろかさないように、

水面に顔を近づけ、

ほんのちょっとだけ、

ひげだけ、ぴたっぴたっと水にふれ、

なかよししようとしました。

ひげを水草とかんちがいした

みずすましさんは、

しがみつきひと休み。

いつまでもはなれなく

なってしまいました。


あるときは、

「おいで、おいで。

おともだちだよ。

よろしくね」

なれてきたモコは

手におさかなさんの

絵をかき、

おそるおそる

水の中にしずめました。

おさかなさんの泳ぐまねをして、

ゆらゆらゆら手を動かしてみせます。

モコのつめがおそいかかってくる

かいじゅうのきばに見えたのか、

すみはじめた、ちっちゃな

みんな、かくれてしまいました。

 

あるときは、しっぽに水草を

えがき、水の中で何もしません。

こんどこそ、これならだいじょうぶと

じーっとしたままです。

小さなおともだちは、ほっと安心したのか、

しっぽにあつまり、

しっぽにえがかれた水草に

巣をつくりはじめました。

なかよしになれたのに、

しっぽを水から出せなくなり困ってしまいました。

 

「だからいったのに」

どうにかドジョウさんにたすけてもらい、

しっぽを水からぬくことができましたが。

 

「そっとしてあげてね」

ドジョウさんからのお話は

半分までわかるけど、

やはり、

あたらしいおともだちだもの。

モコはうれしかったのです。


「じゃましないでください。

はいはい、わかりました」

今日もそわそわ、

ひとりごとをつぶやくモコでした。

 

 

 

身近にある自然をとらえなおしてみると、私たちが手を加え、保護したり育てていく自然があります。もう一つは、私たちがふれてはならない自然、二つあるのではないかと思います。ついつい自然を大切にしたくて、手を出したくなりますが、そっとしておくことも大切なのかもしれません。